あなたも企業の一員として活動しているのであれば、その活動を行う上で大事にしていることがきっとあることと思います。
大きな企業なら「クレド」も策定され、指針が示されています。
守っていますか?
その指針に沿って行動しているはずなのに、
時に汚職やデータの書き換え、粉飾などの事件が起こります。
それは「真実を伝える力」があれば、起こることのなかった残念なできごとです。
問題の根源は「嘘」
私は以前、広報という仕事をするためにIRについて学びに行ったことがあります。
(IRとは上場企業での財務状況や業績などの情報を開示する広報活動のことを指します)
その時の最初の授業冒頭、講師の方が以下の質問をされました。
「あなたに上司が、虚偽の発表をするよう指示しました。
嘘なんかつきたくないけど、もし本当のことを言ったら?
せっかく入った大企業なのに、辞めさせられるかもしれません。
さて、あなたはどうしますか?」
確かに嘘はつきたくないけど、会社を辞めさせられるのは困る、なんといっても生活が掛かっているし…でもやっぱり本当のことを言うかな、でもその後、居づらいなぁ…とふらふら考えていると、講師の方が仰いました。
「本当のことを言わなくてはいけません。
それが広報として一番大切なことです。
もしも会社をクビになっても、
あなたには信用というものがついてきます。
他にも雇ってくれる会社が必ずあります。
逆に、嘘をついてそれが後に嘘だとばれた時には
あなたを雇う会社なんてありませんよ。
これをまず肝に命じていただきたい。」
ある意味、衝撃!
少しでも揺らいだ自分が恥ずかしい(笑)。
そうです。
真実を伝えるのは、本来当たり前のことですよね。
1. 女性マーケティングにおける「正直」の大切さ
このエピソードから学ぶべき重要な教訓があります。
それは「正直に伝えることが信頼につながる」ということです。
信頼があれば必ず雇ってくれる会社がみつかるように、
信頼があれば、お客さまはあなたの会社の商品やサービスを購入してくれるのです。
広報活動に限らず、企業から発信するものすべてにおいて、本当のことを伝えるのは当然のことだと私は考えています。
女性マーケティングにおいても同じです。
例えば、ある企業が新しい商品を女性向けに発売する場合を考えてみましょう。
もしもその商品に欠点や不満点があることがわかっているのに、それを隠して宣伝したらどうなるでしょう?
すごく良いもののようにセールスコピーで煽っているLP、よく見かけませんか?
一旦は売れるかもしれません。
しかしその後が問題です。
「実際購入してみたら広告LPに書いてあった情報と違う!」と怒りを買ったり、「こんなものだと思わなかった!」とネガティブな口コミを書かれたり、ということが起こり始めます。
女性たちが商品の真実を知れば、期待した分さらに失望する可能性も高くなります。
失望すれば当然ながら「二度と買わない!」という選択を行います。
こうして、せっかく得られかけていた信頼が崩れ去ってしまうのです。
一旦失墜した、企業や商品への信頼を回復させるのは非常に難しいことです。(回復させられないということはありませんが、非常に長い年月とコストを要します)
女性は信頼性や感情的なつながりを重視する傾向があります。
だから女性マーケティングにおいては「正直に伝えること」が重要だと捉えなくてはならないのです。
2.ブランディングにおける「正直」の大切さ
正直なコミュニケーションは企業のブランドイメージを形成する上でも必要な要素です。
企業からのメッセージや広告から醸し出される雰囲気にも女性たちは敏感です。
感動したり、自分が共感できれば →いい会社
違和感を感じたり、自分が共感できなければ →いやな会社
と勝手にレッテルを貼ってしまいます。
共感できるかどうかを自然と判断材料としているのです。
こういう思考からも「女性マーケティングは共感」とよくいわれるのですね。(ここだけが走ってしまっている気がしないでもありませんが)
現在ではCSR(企業の社会的責任)やSDGs(持続可能な活動目標)などに真摯に取り組む企業が増えていますから、こちらは認知されつつあるのだと思います。
彼女たちは自分たちが「良き」と感じられる活動を求めています。
そして「良き」と認めれば、顧客となってくれるだけでなく、企業の活動をも応援したい、何かの役に立ちたい、とまで考えてくれるようになるのです。
そんな素晴らしい例をいくつも見ています。
3.顧客コミュニケーションにおける「正直」の大切さ ~事例~ になるかどうか…
化粧品会社勤務時代、ある日のお昼休みのことです。
その会社では昼休みでも誰かが電話に出られるようにするため、事業部も2名は残ることになっており、その日は私が当番でした。
そこへ1本の電話。(想像つくでしょう?笑)
お客さまの女性がものすごい剣幕です。
通常お客さまからのお電話にはフリーダイヤルにお掛けいただくことをアナウンスします。
それがルールになっていました。
なので私もそのようにアナウンスしたのですが…
「いいのよ、電話代掛かったって! わかってて本社にかけてるのよ!」とお叱り。。
秘密保持契約があるので内容は書きませんが、この女性は私たちの会社が行ったある行動にお怒りでした。
その内容を伺ってみると、そりゃ怒るわ…ってことだったのですが。。
さて私がしたことはどんなことだったでしょうか?
(ほんとに考えてみてくださいね)
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謝る?
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答え。
「えーっ!そんなことしたんですか?! すみません!!! えーっ、考えられないですぅ!!! そ、そ、そんなことを??? ひどいですね…」
とただ、ことさらに驚いた!です。
これはわざとでも、マーケティング的施策でも何でもありません。
本当に驚いたんです(笑)。
そんなことがあるのか、と。それが正直な気持ちでした。
企業のマニュアル的にはこれはやってはいけないことだったと思っています。
事実や責任の所在が明らかになるまで、〇〇だ、と肯定した意見は言ってはいけないと思います。常識ですよね。
なのに、一緒になって驚くという。。
しかし、さいわいといいますか、これが「共感する」ことになったのでしょう。
そこからお客さまの態度が変わっていきます。
声のトーンが穏やかになり、「わかってくれればいいのよ」とまで。
そして最終的には「もう一度、WEBから購入するわ」というところまで感情が回復してくださいました。
私もなんでも「事実を確認」が癖になっていたせいか、ただの執拗な性格のせいか(笑)、その日の締めの時間、本当に買ってくださったのか顧客情報を確認したところ、なんと本当に購入してくださっていたのでした。
(感謝しかありません。あの時は本当にありがとうございます!)
なぜ恥を忍んでこのエピソードを書いたのか。
それは、「正直」の大切さは顧客コミュニケーションでも重要だということをお伝えしたかったからです。
(※ひとつ間違っていただきたくないのは、この事例の場合は圧倒的な「商品力」「ブランド力」があったということです。お客さまは電話代が掛かっても自ら本社に電話をかけてきてまで伝えたかった「このブランドが、商品が好き」という気持ちがあった、ということです。女性は共感、共感したから買う、と安易に考えるのは危険な発想です)
4.顧客コミュニケーションにおける「正直」の大切さ
上記の例からわかるように、女性は、企業が自分の意見や要望を真剣に受け止め、それに応える真摯な姿勢を求めています。
なので、顧客の声に耳を傾け、誠実に対応することが重要なのです。
真実を伝える「正直さ」で、企業は女性たちとの強い絆を築くことができるのです。
そして、その信頼構築の結果として、売上げはアップし、顧客ロイヤリティは高まり、ブランド価値が向上することへとつながっていきます。
顧客コミュニケーションにおいては、長期的な視点を忘れないことがポイントとなるでしょう。
私たちは「正直であること」「真実を伝えること」を武器にすることができます。
女性マーケティングに限った成功法則では決してないのですが、企業としての「在り方」について初心に立ち返って書いてみました。
一度考えてみませんか?