あなたの会社の販促物はその名のとおり、販売促進効果を発揮しているでしょうか?
販促物にもいろいろありますが、その意味、目的はそれぞれに異なります。
なので、さまざまな種類の販促物を準備しなくてはならないわけですが、制作するのにコストのかかる販促物です。
だからこそ無駄のないように、その販促物に期待する効果はどのようなものなのか、また、どういう基準で作るのかを整理する必要がありますね。
今回は、販促物の目的と効果はダイレクトな売上げアップだけではない、という事例をお話したいと思います。
〇〇周年記念の販促物、という依頼に ~事例~
ある健康食品会社さん、〇〇周年記念大会で配布する販促物を作りたいとのことでした。
日本ではサプリメントがここまで浸透していないというか、まだほとんど知られていない時代から、
その本場であるアメリカから取り寄せていらした歴史のある会社さんです。
当時は子育てをしながら働く女性はごく限られた方だけでしたが、女性でも働きやすい環境を、と
代理店制度を採り入れられたのも、また新しい試みでした。
この会社さんがある上場会社に買収され「これから心機一転、活動していきます」というタイミングでご依頼いただきました。
私はこの歴史が強みになると思いました。
今は誰でもカンタンに、OEMでサプリメントを作り、ネットで販売できてしまう時代です。
お客さまにとっては選びたい放題で一見よさそうですが、逆に、どれが本当に効果があり、本当に信頼できるものなのか?
迷いが生じているはずです。
この会社さんの健康食品に対する考え方や姿勢を正しく伝えられたら、必ず喜んで購入してくださるお客さまは増える、
そう考えて販促物を策定しました。
「どんな販促物を作ったんですか?」
すみません。ここではそれについて詳しく触れません。
お伝えしたいことはこの販促物の内容ではなく、その手前の問題だからです。
上場企業さんが買収された、と書きました。
この「タイミング」が着目するべき点です。
私が気になったこと、それは、この会社さんの直接的なお客さま、代理店の方々は少なからず今、
不安な気持ちになっているのではないか、ということでした。
代理店をしている女性たちにとっては、経営者が変わることによって、いったいこれからどうなるんだろう…?
今までの信頼関係は変わることなく維持できるのだろうか?
そこに大小の差こそあれ、間違いなく不安を感じているはずだと思ったのです。
お客さまの不安を取り除く
まずは何よりも彼女たちの不安を取り除くことが先決だと思いました。
そこで、新社長さんからお手紙を書いていただくことをご提案しました。
実際、書いていただいたお手紙には、新社長さんの想いがとても真摯に熱く語られていました。
けれど、ただのお手紙では、彼女たちの心に行動を促すまでのインパクトを与えることはできません。
新社長さんに対しても、一瞬で信頼感を持ってもらえるものでなければ。
古くから代理店をしている女性たちも多く、その方々の年代も鑑み、ここはお一人お一人に毛筆でしたためていただくことに。。
・・・無理ですね(笑)。いくらなんでもあの人数分。。
そこは昔ながらの筆文字風(でもちゃんと楷書)で、江戸時代に徳川家康がパタパタパタと拡げているのをイメージできるような、
長~い和紙の巻物形態で作ってもらうことにしました。
メール連絡の時代だからこそ、大事にしたい圧倒的な手触り。
形状も紙質も、宛名も切手も、すべて世界観を統一しました。
きっと郵便受けから取り出した瞬間に、「ん?なんだろう?」と釘付けになったはずです。
意識的に新社長からのお手紙を読んでいただいて、信頼していいのだと認識し、志気を少し高めていただいて、それから大会に参加していただく。
そして当日は会場で販促物を手にする…
「私もまた心機一転、がんばるぞ!」
そう思っていただけるように、この導線を設定したのです。
さて、当日は?
当日は私もお伺いし、その代理店の方々の反応を拝見しました。
皆さま生き生きと参加されていた印象で、集中して販促物をご覧になっておりました。
担当者さんに伺ったエピソードがあります。
ある代理店さんが、担当者さんを見つけると駆け寄ってきて、
「お手紙感動しました! こういうの(手に持っていた販促物)を待っていました!
本当は辞めようかと思っていたけど、、、もう1度がんばってみます!」
そう仰ったそうです。
おぉ、離脱阻止!
よかったです。
受け手の気持ちを考えない、形だけの販促物は
よく通販で購入した商品と一緒に送られてくる初回同梱物には挨拶状がついていて、
必ずといっていいほど手書き風、手書き風、手書き風、です。
どうしてみんな手書き風なんですか???
それは、挨拶状は個人の方から出されているような雰囲気を醸し出すために、また、あたたかい感じがする手書き風文字がよい、
などとテクニックが語られているからです。
それも20年近くも前からです。
ここまで蔓延すると、その効果は薄いでしょうね。
さすがに、もう手書き風でも印刷しているということはお客さまもわかっているし、逆に「古い!」と思うお客さまだっているのです。
必要なのは、あなたのお客さまにとってはどうですか?という意識です。
販促物もまた形だけを追うのではなく、受け手のお客さまの気持ちを読み解き、設計してください。
きちんとバックグラウンドから一貫して考えられ、そこにある理由の上に作られているならば、ターゲットに必ずささります。
そうして作られた販促物は「あるとないとじゃ大違い!」です。
直接的な売上げアップ以外にも、ぜひ活用されたし、と思います!!