女性マーケティングの世界に足を踏み入れなくてはいけなくなった企業の担当者さんや小さな会社の社長さん。
皆さんもお客さまである女性のニーズを知るために、アンケート実施を考えたことがあるのではないでしょうか。
すでに実施しているよ、という場合もおありだと思いますが、
そのアンケートからターゲットのお客さまの深いニーズを掘り起こし、次の施策構築に活かすことはできていますか?
今日は、深い洞察を得て、必ず次に活かすことのできるアンケート構築について、お話したいと思います。
女性のニーズを理解するためのアンケート設計の原則
化粧品業界をはじめとする女性向け商材を扱う企業の担当者さんが直面する一つの大きな課題、
つまり「女性のお客さまの真のニーズをどのように深く理解することができるか」に焦点を当てたいと思います。
特に、男性のブランド担当者さんが女性の気持ちを深く読み解くことの難しさを感じている場合、アンケートは有効です。
ですが、その「設計」がカギとなります。
女性の気持ちを理解するためには、ただ単に商品やサービスに関する意見を尋ねるのではなく、
彼女たちのライフスタイルや価値観、問題としていることへの取り組み方
(ex.化粧品の場合なら美容に関してどのような姿勢であるか、ということ)などを理解することが重要です。
同じ女性でも人によって環境や価値観、感じ方はバラバラです。
「女性」とひとくくりにせず、ベースに何があって、こんな世代のこんな環境の人ならこんなふうに感じる、を導き出すのです。
これは女性マーケティングにおいて、商品開発やマーケティング戦略、動線設計を構築するのに、
リアルなニーズに基づいて行うための基盤となります。
アンケート設問例
では具体的に設問例をあげてみましょう。
あくまで案ですが。
ここでは仮に、化粧品会社さんが新しいラインを検討していて、
既存のお客さまに意見を聞いてみたい、としましょうか。
1. お客さま自身のベース部分
・あなたの年齢層を教えてください。
○歳未満/○~○歳/○~○歳/○歳以上
のように、選択制で。
・あなたのご職業を教えてください。
学生/会社員/兼業主婦(フルタイム勤務)/兼業主婦(パート勤務)/専業主婦/専業主婦(子育て中)/無職
のように、選択制で。
必要ならば「会社役員」などを入れていただいても大丈夫ですが、迷わず必ずどこかを選択できるように。
もっと単純な項目にして、別途、家族構成を聞く形でも。(←最近はなかなかハードルが高い!)
・現在、使用されている弊社の商品を教えてください。
選択式もしくは自由記入欄で。
既存の商品数によって異なります。
・あなたが普段から関心を持っている美容・スキンケア以外の事柄はなんでしょうか?(複数選択可)
美味しい外食/健康のための食生活/旅行/ファッション/スポーツ/映画・・・その他「 」
のように大事に考えていることを。
「その他」は具体的に記入できるようにします。
・スキンケアでいちばん大切に考えていること、していることは何ですか?
自由記入欄で。
・
・
・
・
・
etc.
こんな感じで、その方のベースになっている部分についてお尋ねします。
2. 本題(尋ねたい商品やサービス)について
・普段どのような製品を好んで使用しているか?とその理由
・選ぶ際に最重要視するポイントは?
・費用感
・好きな化粧品とどんなところが好きか
・失敗したと思った化粧品とどういう点からそう感じたか
・
・
・
・
・
etc.
あなたの商品やサービスについて尋ねたいことを自由記入方式で書いていただきましょう。
ここがいちばん知りたいところだと思いますので、各社に合ったご質問で大丈夫です。
3. 美容や化粧品に対する概念
・「美しさ」とは何だと思いますか?
・あなたにとって「化粧品」が持つ意味は何ですか?
(例.自信を作ってくれるもの、単純にスキンケアの手段、心がわくわくするもの など)
何を答えていいかわかりにくいものには上記のように「例」をつけて差し上げてください。
・さあ今日も1日が終わりました。クレンジングをし、洗顔をし、化粧水をつけて、美容液を塗って、クリーム。
スキンケアが終了しました! その時、あなたはどんな気持ちですか?
(これはちょっと誘導が入っている質問だったりします)
・私たちの〇〇やサービスに、改善してほしい点はありますか?
あれば遠慮なく何でもお書きください。
・こんな商品があったらいいな、と思う化粧品や美容製品はありますか?
ぜひ教えてください。
・
・
・
・
・
etc.
こんな感じで、自由記入方式で聞いてみてください。
いろいろな答えが返ってきて、価値観や考え方、感じ方がわかります。
本当に女性っておもしろいですよ!
こんなことを考えているんだなぁ、、、と感じられると思います。
「女性マーケならピンクで…」みたいなテクニックが
いかに薄いことだったのか、お気づきになられることでしょう。
あなたの作ろうとしているアンケートが新商品のモニター調査でも、
オンラインショップサイトのユーザビリティ調査でも、店舗調査でも、
どんな内容でも考え方は同じです。
1.ご自身のバックグラウンドになる基礎情報
2.聞きたい本題
3.本題の内容に対するその方の取り組みや価値観など
感情を掘り起こしてもらう
この順序で作成します。
アンケート実施のコツ
実際にそのアンケートを実施する時の注意事項を以下にあげておきます。
- 信頼関係の構築
必ずアンケートの冒頭、導入部で、名前は一切出ないことなど
回答する方の個人的なプライバシーは尊重されることを明確にお伝えすることを忘れないでください。
そうすることで安心して回答することができます。 - 開放的な質問、回答を用いる
集計のことだけを考えるなら選択肢のほうが圧倒的に楽です。データも数字で取りやすい。
しかしそれだけでは深い洞察は得られません。
回答する方が自分の言葉で意見や感情を表現できるように、文字数制限のない自由記入をお勧めします。
選択肢に頼らない質問、回答を用いることがポイントです。 - 感情に訴える
本題に関する個人的な取り組みや価値観に触れ、感情をご自身で内観してもらうことで、
より深いレベルでの回答を引き出すことができます。
この感情が湧き起こりやすいようにといいましょうか、
質問もより感情に訴える表現はできないか考えてみてください。 - プレゼント、お礼の考え方
アンケートをお願いする方との関係性によりますが、
もし信頼関係がすでに構築できているならば、
お礼のプレゼントがなくても、お客さまは誠心誠意お答えくださるでしょう。
けれど気持ち的に、「ありがとうございます」という気持ちを形にすることを私はお勧めします。
アンケートかインタビューか?
女性の心を理解することは、特に性別が異なる場合には難しく感じるかもしれませんが、
適切に設計されたアンケートを通じて、その壁は乗り越えることが可能です。
アンケートは、女性の声を直接聞くための有力なツールであり、
ブランドが本当に必要としている洞察を得るためのカギとなります。
アンケートにするかインタビューのほうがよいのか迷われることもあると思うので、
その違いについてまとめておきます。
◆アンケート
アンケートは一般的に選択肢から選ぶことが多い定量的な調査で、
いわゆる大量の回答者からデータを収集したい時に適しています。
回答者はご自身の都合のよい時間に、自分のペースで、プライバシーを保ちながら回答することができるのが利点です。
また、データは容易に分析しやすいですが、その分、深い洞察や感情のニュアンスを捉えるのは難しい場合があります。
ですからその点を自由な記述式でフォローする必要があるのです。
◆インタビュー
一方、インタビューは対話式で、質問に対する詳細な回答や感情をさらに掘り下げることが可能で、
深い理解を得やすくなります。
回答者の声のトーン、表情、言葉遣いや強調される部分からも情報の真実味まで得ることができます。
ですが、データの収集と分析においてはアンケートよりも時間を要するでしょうし、
個人の意見や経験に基づく定性的なデータが中心となりがちです。
特に「グループインタビュー」では、進行者の思いに誘導されてしまっている例を数多く見てきました。
また1人の発言力の強い方の答えに、みんなが引っ張られてしまうことも往々にして起こっています。
ですのでインタビューは、質問者が進行を気にせず深く深く、どこまでも深く(笑)
掘っていくことができるデプスインタビュー(1対1のインタビュー)を推奨します。
このように、インタビューはアンケートに比べてより柔軟性があり、深い洞察を得ることが可能ですが、
時間やリソースをより多く必要とします。
目的に沿って、アンケートかインタビューかを選択する、
またはアンケート実施後の抽出した方のみデプスインタビューを行う、など、
両者を適切に組み合わせることで、より全面的な市場とターゲット女性の理解を実現できます。
一貫性をもって活かす
深く知ることとなったターゲットの興味の対象、好きと感じるモノ・コトや、事象に対する感じ方は、
それらを基に、商品やサービスの改良だけにとどまらず、イベントやキャンペーン、広告や販促物、コンテンツの制作、
コミュニティ運営など何にでもすべてにおいて、一貫性をもって活かすことができます。
活用できてこそ「やってよかったアンケート」になります。
ぜひお試しになってくださいませ♬
皆さんのブランドが女性の真の気持ちに響くブランドとなられますよう、
心から願っています。
ご質問はいつでもこちらから。
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